2017・三浦半島 見仏霊場巡り(後編)
三番目のお寺、浄楽寺へ着きました。
駐車場へ車を停めて、ワクワクしながら境内へ向かいます、
と言ってもすぐです。
なかなか趣のある本堂が見えておりますが、
拝観場所はその裏にある収蔵庫なります、
脇道を少し上がると見えてきました。
収蔵庫の前にテーブルが置かれ、希望する御朱印をチェックする用紙、
鉛筆などが置かれています、係の方が並んでたオバちゃん達に
丁寧に記入方法を説明されてました。
御朱印は6種類ほどありましたね、オリジナルの朱印帳も置いてあったし、
このお寺は仏像力がありますから拝観者が多いのでしょう。
ワタシらも用紙に記入し、頂く御朱印は2種類にしました、
不動と薬師です。阿弥陀三尊はも迷いましたが
今回は不動と薬師の霊場巡り中ですからね。
しかし、いろんな神社仏閣で数多くの御朱印を頂きましたが
用紙に記入するのは初めてでした(^_^;)
8種類もある京都の東寺でさえ口頭で伝えますからね。
記入した用紙と御朱印帳を持って収蔵庫の中へ入りますと、
そこにも係の方が待ってます、
用紙を渡すと希望した御朱印の種類を確認されてますので、
それで間違い無ければ御朱印帳を預けます、
参拝後に朱印帳を受取り納経代300円を納めます。
さて、庫内に居並ぶ仏像をじっくり見仏。
ちなみにこちらはすべて撮影禁止でございます。
まず正面に阿弥陀三尊、その中尊にはもちろん阿弥陀如来座像が
いらっしゃいます、堂々たる丈六仏、膨よかな尊顔に袈裟のドレーブが
見事です、目がキリッとして力強さを感じさせます、
背負う光背がまた美しい、両脇に目を転ずれば
向かって右に観音菩薩立像、左に勢至菩薩立像、
のお馴染み阿弥陀三尊像。
左右対称の良く似た造形ながら、どこかが微妙に違うんですよね、
でも、この三尊は顔がホントに良く似てます。
いつもながら空を見つめる視点の妙、半眼の魅力に引き込まれました。
三尊の更に両脇、勢至菩薩の隣にズッシリとした質感の毘沙門天立像、
もちろん邪鬼を踏んでますがその表情にはどことなく優しい、
遠方を見張るその目の大きさに愛嬌すら感じます。
今度は一気に右端へ視線を移します、
出たぁ~、不動明王です!いや~この不動明王立像は実にカッコいい、
牙を出して、「ん、いまなんつった?」的な睨みがステキですよ(笑)
全体から溢れ出る威圧感も見事だなぁ~。
ということで、これら五体の仏像は・・・・
あの運慶作なのです。
運慶仏はすべて国宝か、重文になります、
現存するその数は31体。伝運慶とかも入れちゃうともっとあるかもだけど(^_^;)
とにかくその判断が難しいと聞いたことがあります、
銘札でも体内に納めてあるとか、どこかにその痕跡があれば
わかりやすいんだろうけど。
貴重な運慶仏の5体が、なんとこの浄楽寺にあるというのも驚きです。
実はこの五体、以前も鶴岡八幡宮内にある鎌倉国宝館や
金沢文庫で観てるんですけどね、
今回始めて浄楽寺で観ることが出来ました、
本来あるべき場所で観る仏像の姿はやはり格別なものです。
なんでも以前は国宝指定だったのが、重文指定へと、
文化財の見直しで、いわば格下げされたらしいのですが・・・
その辺の判断は良く理解できませんけどね。
ホントは収蔵庫ではなくお堂で観たいと思いますが、
重文なのでセキュリティの関係上、
今後もそちらに移すことは無いでしょう。
そして最後に対峙したのが薬師如来、
居並ぶ運慶仏の一番右端、開かれた厨子の中にいらっしゃいます(^_^;)
こちらの薬師さんは金ピカピカだったので新しいのかなぁ。
うーん、ド迫力な運慶仏と比べるとさすがに見劣りします、
でもそれは芸術的観点からで、
仏教的にいえば薬師如来ですからね、全くもって遜色なしでございます(^_^;)
手を合わせちゃんと挨拶しておきましたよ。
収蔵庫を出て駐車場に戻るとちょうど入れ替わりで20人くらいの霊場巡りグループが
ぞろぞろと収蔵庫方面へ(^_^;) いいタイミングでしたよ。
浄楽寺を後にしたら、もういいかなぁ~ってな気分でしたが、
一度決めた霊場巡りの途中で、「もう、イイかなぁ~」などと思っただけでも
不動明王に「何言ってんだテメェ!」ってひと睨みされて、一瞬で焼かれちゃいます(;゚Д゚)
焼かれたくないので・・・次を目指しました。
横須賀市野比にある「最宝寺」です、
こちらも不動&薬師のW霊場になってます、
資料を見て思ったのはこのお寺、浄土真宗なんですよね、
実はウチの実家がそうなのです(^_^;)
あ~でもワタシは空海好きなんで真言宗がイイんですけどね、
仏もカッコイイし(笑)
ただ、親鸞の生き方も好きですよ、
他力本願というその「他力」をどう考えるかなんですが。
そこでふと思ったんですが、ワタシの記憶では浄土真宗は御朱印って
基本ありませんよね、仏像にしても
南無阿弥陀・・・なんで阿弥陀さんです、
薬師と不動は違うのでは?と。
最宝寺の駐車場に車を停めると
本堂の横の出入り口が開かれてます、
ちゃんと回向柱が2本建ってます。
玄関を入ると、すぐに横長テーブルがあり御朱印を頂けるみたいです。
そこに座っているお二人を見て、なんとなくわかりました、
檀家さんなんですよね、僧侶の方ではありません、
なので御朱印も手書きでなく、押印です、
日付だけは筆ペンで書いていましたが。
やはり浄土真宗の僧侶の方は基本的に御朱印はしないんでしょうね。
じゃ、なぜ、薬師と不動がいるのか?
それは、もともとこの最宝寺はあの天台宗だったのです。
天台宗と言えば最澄、あ~懐かしの比叡山、また行きたいなぁ~(*´∀`*)
・・・ってそんなことはさておいて、
後鳥羽天皇から薬師如来坐像を賜り、それを本尊にして鎌倉で建立されたとあります、
で、この時は天台宗なのですから、不動も有りですよね、
天台宗を起こした最澄は密教にも通じてましたから。
それが後年、お念仏の教えに出会い、本尊を阿弥陀如来として
親鸞の浄土真宗へ転派したとあります、
で、それまでの本尊である薬師如来を客仏としました。
その後、北条弾圧から逃れ現在地へ移転したと言うことです。
なるほど、そういう歴史があったんですね。
合点がいきましたよ。
ならば押印でも有難く頂きましょう(^_^;)
客仏になった薬師如来の厨子は
須弥壇がある場所から一段下った所にありました。
元は本尊ということで小さいながらも素敵な仏像です、
時代的には鎌倉後期なんですね、
写実的でなんとなく慶派っぽい造形、
ちなみに県指定重文です。
同じ場所に不動明王も置かれてありましたね。
特に印象に残るほどではありませんでしたが、
こちらは土地柄なのか、通称で不動の前に「源」が付いて
「源不動」と言われているそうです。
通称で言えば「瀧不動」とか「出世不動「「厄除不動」とか
いろいろありますが、「源」ってどうなのよ(笑)と思いましたね、
人間ごときが不動明王と同列に並んじゃダメだと思うんだけどなぁ~(^_^;)
薬師と不動に参拝した後、少しだけ本堂の須弥壇を見学しました、
浄土真宗は須弥壇が金ピカで神々しさに満ちあふれてますね、
浄土演出ですからね、
ただ、あの親鸞のイメージにはほど遠いんですけどね(^_^;)
最宝寺を出て、いよいよ最後の寺へ向かいます、
横須賀市岩戸にある「満願寺」です。
とりあえず満願ということで最後にぴったりなお寺さんです(^^)
27号線から細い道へと左折して、少し進むと更に細い道を右折します、
車一台が通れる道を少し進むと右手にお寺の駐車場がありました。
歩いてすぐの所に受付があり、そこで御朱印を頂きます、
脇にはテーブルが有り、お茶と菓子で接待が用意されてました。
御朱印を書いて頂いたのはこの満願寺のご住職、永井宗直さん、
著書も数冊あるそうで、たまにFM横浜でお話されたり
毎月坐禅会なども行ってるそうです。
こちらは臨済宗のお寺さんなので「禅」ですね。
受付から本堂の前を通り、奥の収蔵庫へ行きます、
庫内へ入りますと仏像が4体。
まず、正面に2体、右が地蔵菩薩立像、左が菩薩立像、
この2体は国指定の重文です。
顔の表情には慶派を思わせる感じがありますね、
鎌倉時代初期の作ということで
やはりその時代のトレンディな造形なんでしょう、
慶派的ということですね。
更にその左端に不動明王立像、燃え盛る火焔光背を背負い
堂々とした姿です、浄楽寺の不動にも似ている
定番な姿です。
右端には毘沙門天立像、こちらも力強い毘沙門でしたね。
この二体は横須賀市の重文に指定されてました。
最後も見応えある仏像に出会え、これで結願(勝手に)です。
わずか5寺巡礼でしたがとても楽しかった。
いい仏像にも出会えましたし。
そうそう、浄楽寺の仏像にはまた年内中に別の場所で会えそうです(^^)
今回は三浦半島にこんなにお寺さんが在ったのかと知ったことが
一番の収穫でしたね。
大開帳期間という事で、各寺の仏像を問題なく観ることが出来ましたが、
普段は多分観られない所が多いと思います、
事前に拝観希望の連絡とかすれば大丈夫かもしれませんが。
ちなみに今年は132年に1度の同時御開帳でしたが
普通は三浦不動尊霊場の御開帳は酉年で12年に1度。
三浦薬師如来霊場の御開帳は33年に1度となってます。
12年後はともかく33年後って・・・(^_^;)
あと、サイクリングな方々をたくさん見ましたよ、
三浦半島一周ってとても人気なんですね、
中には今回の霊場巡りしてる人もいたんだろうなぁ~。
ただ交通量多いし、路肩が狭い道が多そうだけど
上手くルート設定すれば意外と楽に走れそうかなぁ、
そのうち気合い入れて一周してみようかなと思いました。
by opaphoto | 2017-06-06 23:00 | 神社・仏閣・仏像 | Comments(0)