2019・夏旅の出雲 神の国ぶらぶら巡礼記・その5
二日目の朝、この日も快晴、猛暑日の予報が出てます(^_^;)
ホテルでの朝食後、向かった先は車で10分ほどの場所にありました。
「月照寺」です。
松江城に近い場所にあることでもわかるように、
歴代松江藩主松平家の菩提寺なんですね。
月照寺というなんとも素敵な寺名は、初代藩主、松平直政の母が月照院だからです。
そもそもこのお寺は、その母の霊碑を安置するために
1664年にこの寺を再興したのが始まりと言われてます。
とりあえず松江市に来たからには、
お殿様達に挨拶しないわけにはいきません。
9時、寺の駐車場に一番乗りでした、静かな巡礼が出来そうです。
唐門を眺めながら、受付のある書院へ。
ここで拝観料を支払い、案内版に従って巡ります。
境内はほぼ歴代藩主の廟所巡りとなります。
初代直正公がお墓が一番大きく、そこから九代まで続きます、
廟所が有名なお寺さんはどこも似たような雰囲気が漂いますね、
「兵どもが夢の跡」では無いですが、どこか儚さを感じます、
蝉の声がまるで読経のように境内に響き渡っていました。
廟門は藩主に因んだモノが彫られ、なかなか凝った造りになってます、
ぐるっと周り、小泉八雲の随筆で「月照寺の大亀」で有名な寿蔵碑の前に出ました。
夜な夜な市中を徘徊し、なんと人を食っていた言われる恐ろしい亀です、
六代藩主の功績を石碑に彫り、亀に背負わせて、この地に封じ込めたと
言われています。・・・で、亀も石になっちゃったワケですね。(^_^;)
で、なぜか、この亀の頭を撫でると長生きできるとなってるそうで、
確か1度だと数年、2度で十年だったかな?
3度も撫でれば・・・永遠とか(笑)そんなような説明を
受付でされました。
永遠は困るなぁ(^_^;)
と言いつつ、調子に乗って撫で回したけど・・・大丈夫かな?(笑)
受付があった書院まで戻り、御朱印を頼みます、ここは書き置きでしたので
日付のみ書いてくれました。
院内に上がると、気持ち良い風が抜け、涼を感じます、
抹茶を一服頂くことにして、のんびりと庭の景色を楽しみながら過ごしました。
ちなみに院内は自由に見学出来、撮影もOKでした。
最後に書院を出て宝物館を覗きます、
ここは唯一クーラーが効いてましたので、ゆっくり回りました(^_^;)
外に出ると、気温は一気に上がりジリジリと夏の日差しが照りつけます、
駐車場の車はサウナ状態でしたね。
ガンガン冷やして、次の目的地へ走り出します。
前日は島根半島の西端を訪ねたので、この日は東端です、
鳥取との県境近くで、三方を海に囲まれた美保関町です。
走る道の先、空に浮かぶ雲がひとつ、見ればまるで「勾玉」の形なのです!
出雲の神々に歓迎された旅なのだと思いました。
途中、海沿いの道から注連縄がかかる「男女(みょうと)岩」が見えました、
よく見れば、男女の形を表してワケで(^_^;)、子宝に恵まれるという事ですね。
それを越えたら美保関町は近かったです。
美保関漁港はどこか風情があり、初めてなのに懐かしさを覚えます。
無料駐車場の近くには立派な常夜灯が立ってました。
美保神社の参道はすぐでした。
近くには海産物屋さんがあり、干してあるイカが美味そうです。
参道と言っても短く、一の鳥居を抜けると、すぐに二の鳥居があります、
石段を上がり、進むと左に手水舎があり、そこで清めます、
さらに石段を上がり、左の秡所を見つつ、立派な「神門」の前に着きます。
ここもまた注連縄が神々しく、重厚な雰囲気を醸しています。
一礼して、神門を抜けると、正面に拝殿と本殿が連なります、
こんなとこに・・・と言っては失礼ですが、
この社殿は素晴らしい!社殿裏の背景は森で深遠さを感じます、
本殿は重文とのことですが、それは当然でしょう。
大社造りの二殿の間を「装束の間」でつないだ特殊な形式で、
美保造りと呼ばれてるそうです。
その二殿にお祀りされている御祭神、
まず向かって右側の御殿に「三穂津姫命(みほつひめのみこと)」
左側の御殿に「事代主神(ことしろぬしのかみ)」
まず三穂津姫命は大国主命の最後の御后神となってます・・・后が沢山居ますからねぇ(^_^;)
元々は高天原の高皇産霊命(たかみむすびのみこと)の御姫神なので天孫系です、
稲穂を持って降臨され、出雲地方に稲作を広めた神と言われています。
このお方は他にも御祭神として、三保の松原の近くの神社とか、京都や奈良のとある神社にも
、お祀りされていますので、今後もどこかでお会いするかもですね。
事代主命は大国主命の子で、さっさと国譲りを承諾した方です。
事代主命はえびす様と同一なので、この美保神社は
全国のえびす社の総本宮になっていますね、
えびす様は漁業の神様なのですが、それは
事代主命が最初に魚釣りをされたことが所以です。
魚を捕ることに長けた民族がいたとされますから、
その辺りとも関係があると思います。
また御祭神は「鳴り物」がお好きとかで
全国から多くの楽器が奉納されるとか。
国を治めるなんて面倒臭いことはどーでも良くて、
好きな魚釣りや楽器の音を楽しむ、趣味の神として
民衆に親しまれる方を選んだのでしょう。さっさと国譲りをしたのは
そんな事かも知れません、
結果、「えべっさん」として多くの方に親しまれていますよね、
そうなるとなんか事代主命には親近感を覚えます。
好きな神様のタイプです
えびす顔って表現もいいし、えびすビールも大好きだし。
拝殿から本殿をのんびり回ると、潮の匂いがします、
どこか懐の深さをしみじみと感じる、そんな美保神社なのです。
御朱印を頂いて、一の鳥居まで戻り、「青石畳通り」を歩き、
次の目的地へ「仏国寺」へ向かいます。
美保神社から仏国寺に至る青石畳通りは江戸時代の参拝道です。
当時を忍ばせる雰囲気があり、たしかに歩くと風情を感じます、
細い路地、そして石畳、イイですね。
すぐに仏国寺に着きました。
境内に入ります、受付は無人、左に宝物殿、
この旅でじっくりと見仏できるのは、ここだけの予定です。
受付に押しボタンがあり、ご用の方は押して下さいと書いてあります。
押します・・・・
押します・・・・?
押します・・・・・・・・えっ~ウソだろ!
誰も出て来ませーん!正面に見えている家がそうなのでしょうが・・・
留守と言うことでしょう。
ということで仏国寺の仏像には会えません、
あちゃ~(T-T)
とりあえず写真が貼ってあったので
それを記念に撮りました。
しかし、これもまた旅なのです。
青石畳通りをとぼとぼ歩いて海沿いに出ます、
一の鳥居の近くに良い感じのカフェがありましたので、
そちらでのんびりとランチタイムにしました。
車は境港から米子鬼太郎空港の近くを抜け、
米子市を走ります。
そこから安来方面へと進路を変え、
全く渋滞の無い道をナビの指示通りに進みます。
うーん、こんな所にあるんだろうか・・・と思っていたら、
案内版が出て来ました。
とにかく暑過ぎるので
この日はここでたっぷり過ごして(涼んで)終わりにしました。
さて、足立美術館、地方の美術館の中でもかなり有名ですよね、
収蔵された美術品もさることながら、足立美術館を一躍有名にしたのが、
敷地内に造られた大規模な日本庭園です。
広い駐車場、流石に平日なんで余裕あります。
館内に入り、順路通りに進むと、有名な日本庭園が窓の向こうに広がります、
思っていたよりも圧巻です。
まさに絵に描いたような景色が目の前に広がっていました。
遠くの山から流れ落ちる滝、その滝も造ったと言いますからね、
そこまでやられちゃうと、もう笑うしか無い。
館内のあちこちからその庭園を堪能できます、
見る位置が変われば、庭の景色も一変します、
よく考えてありますね、まずこの庭有りき、そんな印象です。
横山大観展示室なども見応え十分でしたね、
日本の自然美が大胆に描かれた絵画は足立美術館によく似合います。
2020年の春には魯山人館がオープンするとのことで、一部工事してましたね。
魯山人の言葉には何かしらパワーがありますからね、好き嫌い別にして(笑)
この美術館には合うと思います。
途中、ゆっくり甘味なんぞを食べたりしながら
外の暑さをすっかり忘れるくらいにゆったりと過ごしました。
その分、外に出た時に身体中が一瞬で熱気に包まれた不快さは格別でした。
そんなこんなで
あっという間に二日目も終わります。
ホテルへと帰る道すがら、宍道湖の傍を走り抜けている時、
西に傾いた陽の光が雲を透過して降り注いでいました、
道路脇の駐車スペースに車を駐め、
しばらく眺めていました。まさに出雲の国らしい風景に出会えました。
そしてまた今宵も禊ぎの酒場へ行く時間が迫ってきました。(^_^;)
by opaphoto | 2019-09-08 23:00 | 旅日記(国内) | Comments(2)