「キネマの神様」原田マハ
『キネマの神様』 原田マハ(文春文庫)
志村けんさんが亡くなられたというニュースを見たのが、
なんか遠い昔のことのような気がします。
荒井注さんがいる頃からドリフの番組は楽しみに観ていたので、
志村けんさんに変わった時は、正直ガッカリしたような記憶があります。
でも、いつからかその存在は、ドリフと言えばカトちゃんだったのに
志村けんへと代わりましたよね。
振り返れば、もう随分長い間、笑いを届けてもらいました。
そんな稀代のコメディアンである志村けんさんには感謝しかありません。
一コメディアンとしてその生涯を全うしたカッコ良さ、
もし、元気ならば、これからも「となりの志村」などで魅せてくれたペーソス溢れる
コントをさらに突き詰められていたと思います。
そして、きっと、いかりやさんに負けないくらい味のある役者としての
素晴らしい未来もあったはずです。
あの映画「鉄道員」のシーンを観てそう思いました。
そんな志村けん主演の映画を観られるはずでした・・・。
しかし、残念ながらクランクイン前に亡くなられ、それは幻の主演映画となりました。
その映画のタイトルは
「キネマの神様」
原作は原田マハ。
監督は山田洋次。
志村さんの代役は後日発表があり、盟友である沢田研二さんが引き受け、
撮影すると知りました。
そこで、原作を読んでみることにしました。
あくまで志村けんさんをイメージしつつ。
どんな内容なのか、全く知らずにページをめくりました。
ギャンブル好きで借金だらけだけど、とにかく映画が大好きという
どうしようもない主人公のじいさんと志村さんを重ねながら読み進みます。
このじいさんの唯一の友人が経営する名画座を舞台に、
つぶれそうな映画雑誌編集部と、
ひょんなことなから一流企業を辞めその雑誌社へと転職したじいさんの娘の人生を絡めつつ、
やがて物語はブログの書き込みをきっかけに急展開。
そして世界中の映画好きが動き出します(*´▽`*)
読み終えて、とてもハートフルな作品だったなと思いました。
途中、展開にちょっと出来過ぎな感じを受けつつも最後まで楽しめました。
また主人公のじいさんを志村さんのイメージで読み進めたので
ワタシの中では映像を観ているような思いでしたね。
そして、読了後、私の人生最良の映画は何だろう?
ふと、そんなことを考えました。
「DVDで観ればいいやと、と思われるような映画を作りたい映画人がいるものか。」
あの頃、videoさえも無い時代の映画館に通い、
多くの作品をそのスクリーンで観てきたのですが、
ネット配信など、便利になったと今を喜びつつも、
なんかスゴく大切な事を無くしてしまったのかもな・・・
と改めて感じた次第です。
映画の公開楽しみです。
沢田研二さんの演技にも注目ですね。(^_^)
【「ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ」この物語にも登場する作品です。イイ映画でしたね。】
by opaphoto | 2020-07-21 23:00 | 本の雑記 | Comments(2)
「キネマ」って言うことはほぼ無くなりましたが、
「シネマ」は残りましたね。
それだけ「キネマ」への思い入れがある人もいると思います。
ノスタルジーな響きで言えば「キネマ」に浪漫を感じますね。(*´▽`*)